2025年2月22日(土)、(一社)日本獣医動物行動学会 第1回学術集会が東京大学 中島ホール(東京都・文京区)で開催された。前身は日本獣医動物行動研究会であり、2025年2月21日(金)に法人化し、名称を変更した。
 第1回の学術集会は対面とオンラインのハイブリット形式で実施された。
 講演1では菊水健史先生(麻布大学)が「ヒトとイヌの互恵的関係」と題して講演を行った。つづく講演2では白井春佳先生(にいがたペット行動クリニック)および大石麻里子先生(井本動物病院)を識者として迎え「どうしてる?行動診療 ~認定医・研修医に聞いてみた~」として、磯見 優先生(ALLONE動物病院)を進行役に、行動診療の実際について紹介した。
 次いで行われた、症例・研究発表では、「行動学的治療により、動物愛護センターに収容された犬の攻撃行動を改善し譲渡を実現した一例」(岸野友祐先生、Kawabata横須賀三浦どうぶつ医療センター)、「不安関連行動にミルタザピンを使用した犬の2例」(中野あや先生、動物行動クリニックなかの)、「伴侶動物への愛着スタイル尺度(Pet Attachiment Questionnaire)日本語版作成の試み」(石川瑛実先生、陽だまり動物病院)、「恐怖症(音、雷)の犬におけるジアゼパムの機能的役割についての検討」(室井尚子、Jiu動物行動クリニック)の4症例が報告された。
 犬と猫の互恵的関係や生理学的な絆や地域との連携、行動診療科の各病院での位置づけや行動診療や認知度の向上、動物愛護センターとの連携の課題、薬剤の用い方、また伴侶動物と人間との愛着への研究と、動物行動学の今後を牽引する発表が続き、演者と会場での熱心な質疑応答が交わされた。
 開会式の冒頭に水越美奈会長は「研究会から学会へ名称変更し一般社団法人になった。獣医療のなかで動物行動学がより広く認知されるようにしていきたい。」と意気込みを述べた。来年2026年2月または3月には25周年記念シンポジウムを開催予定で、本学会のますますの活躍が期待される。


学術大会の様子。左より本学会副会長の藤井仁美先生(Ve.C.動物病院グループ 自由が丘動物医療センター)、本学会会長の水越美奈先生(日本獣医生命科学大学)、同じく副会長の武内ゆかり先生(東京大学)

2024年新たに獣医行動科認定医となった大石麻里子先生へ水越会長から認定証を授与