日本獣医学専門医奨学基金(以下JFVSS)は、アメリカのコロラド州立大学獣医学部(以下CSU)における、日本人獣医師に対する専門医教育プロジェクトを支援する基金です。コロラド州知事の声がけによる「コロラド州とアジア2カ国(日本および中国)との交流を図り、相互に有益な事業を展開しよう」というプロジェクトの一環として、2011年に活動を開始しました。
 具体的には、CSUがレジデント・プログラムに日本人枠を毎期1名確約し、JFVSSがその人材選考と経済的支援の管理を担うというもの。JFVSSは奨学生を選出し、5年(大学院2年・レジテント課程3年)にわたる留学期間中の学費と生活費を含む約2000万円を支援します。この留学費は現時点で27の企業・団体・個人の寄付によってまかなわれ、原則として返還義務はありません。奨学生はプログラム終了後、修士およびアメリカ獣医学専門医試験の受験資格を得ることができます。奨学生が専門医試験に合格し、日本に帰国することが、プロジェクトの最終目標となっています。
 第1期奨学生(獣医内科学レジデント候補生)は2013年2月に公募され、1名が同年9月からのCSU留学を実現しました。2014年の選考は残念ながら該当者なしでしたが、現在2015年9月の留学を目指す第2期奨学生を選考中です。募集するレジデントの専門科目は毎期ごとにJFVSSで協議、決定されるとのこと。
 すでに選考中の第2期募集内容(獣医外科学専門医)を参考として紹介します。まず日本の獣医師免許を有し、最低3年間の小動物臨床経験(または同等と選考委員が認定する臨床経験)があること。また、大学院の授業についていける最低レベルの英語力(TOEFL iBT 61点以上)が求められます。それらの選考基準と並んで、「プログラム終了後は日本に帰国する強い意志を持ち、日本の獣医学発展のために貢献する志の強い者」と明記されていることは特徴的と言えるでしょう。このプロジェクトによって誕生した専門獣医師は、日本国内の獣医療にさまざまな形で貢献することが期待されているのです。
 現在(2015年1月)、第3期奨学生の公募内容は未定となっています。JFVSSウェブサイトでは、プロジェクト概要、募集要項、選考スケジュールなどが随時更新されますので、応募を検討される場合にはぜひご確認ください。また、プロジェクトを支援する賛助会員・スポンサー・サポーターは常時受け付けており、個人でも1口1万円からサポーターとしてプロジェクトに参加することが可能です。プロジェクト支援をご希望される場合、サイトから申込書をダウンロードし、下記へご連絡のこと。
 始動から4年目に入ったこのプロジェクト。これまで実力と意欲を備えながら機会を得られなかった獣医師に専門医への道が拓かれ、日本の獣医療がさらなる発展に導かれるよう、いっそうの注目と支援が望まれています。

【問い合わせ先】
一般社団法人 日本獣医学専門医奨学基金(JFVSS)
公益財団法人 日本小動物医療センター附属 日本小動物がんセンター内
〒359-0003 埼玉県所沢市中富南2-27-4
E mail:info@jfvss.jp Fax:04-2943-8698 URL:http://www.jfvss.jp
(お問い合わせはE mailかFaxにて。)