2023年10月26日(木)、獣医臨床感染症研究会主催による第20回同研究会セミナーが、幕張本郷相葉ビル内 (株)サンリツセルコバ検査センター本部(千葉県)で開催された。
「施設ごとの耐性傾向に基づいた抗菌薬使用ルールを考える」をテーマに、「アンチバイオグラムについて」木村祐哉先生(ヤマザキ動物看護大学)、「二次診療施設(小動物)における抗菌薬選択~アンチバイオグラムの臨床的有用性~」福岡 玲先生(東京大学)、「ヒトでの運用例 Empiric therapyの際の判断基準として」高橋 孝先生(北里大学)の講演が行われた。
講演ではアンチバイオグラムの概要から「より有効活用するために、正確な集計のための正確な検査結果の大切さ」「ローカルアンチバイオグラム(地域としてのデータ集計)」や、「東京大学動物医療センターにおけるアンチバイオグラムの活用から診断までのゴールドスタンダード」、「感染症の治療の三角形」などが症例を交えて紹介された。また人医療からのアプローチとして北里大学メディカルセンターでの状況としてアンチバイオグラム作成のフェーズの考え方や、抗菌薬使用量に関する指標の他、最近開発されたAIを活用したマルチプレックスアッセイにおいてのサンプルの量と時間を節約できる有効性やウィークポイントなどが紹介された。
抗菌薬の適正使用と微生物検査あっての抗菌薬使用という流れになる。つまり微生物検査をするとなると結果としてアンチバイオグラムをつくれる。「人の領域のように、獣医療でもアンチバイオグラムを作成していくこと」の重要性を、あらためて当会は強く推奨した。
今後の獣医療における本研究会の役割にますます期待が寄せられる。
本研究会の詳細は以下より。
https://veterinary-nurse.jimdofree.com/
本研究会会長の村田佳輝先生(むらた動物病院)による開会の挨拶。本会会員の栗田吾郎先生(北里大学)の薬剤耐性率に関する論文が世界で評価されたことを紹介するとともに、アンチバイオグラムは本会の基礎、骨組みを構成するものであると話す
参加者たちへ、薬剤感受性試験の内容について解説する露木勇三先生((株)サンリツセルコバ検査センター)、高橋 孝先生、福岡 玲先生、
木村祐哉先生
閉会式にて、鈴木達夫先生((一社)北里柴三郎記念会、(一社)松岡科学研究所)のスピーチ。昨年(2022年)に松岡科学研究所が研究開発した成果を松研薬品工業(株)ともにさらに展開する計画を発表。
「感染症の基本は予防医学だと思う」「予防医学の新しいワクチン、遺伝子ワクチンを含めた研究開発に努めたい」という