2025年7月5日(土)、6日(日)、ホテルニューオータニ(東京都)で、第32回日本獣医がん学会が開催された。今学会のメインテーマは「犬の心臓の腫瘍」で、メインシンポジウムの前半は座長の藤井洋子先生(麻布大学)を迎え、野村耕二先生(エム・ティ・スリー)による「病理」、鈴木亮平先生(日本獣医生命科学大学)による「犬の心臓腫瘍における超音波画像診断」、佐藤恵一先生(自由ヶ丘動物病院 動物がんクリニック名古屋)による「心タンポナーデ・貯留液への対応」、楢木佑将先生(動物心臓血管ケアチーム〈JACCT〉)による「犬の心臓腫瘍における心臓CT」、瀬戸口明日香先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)による「内科療法」が実施された。後半は座長に浅野和之先生(日本大学)を迎え、上地正実先生(JASMINEどうぶつ総合医療センター)による「外科療法」、塩満啓二郎先生(どうぶつの総合病院)による「放射線治療について」と続いた。
教育講演や、病理や内科シンポジウム、症例検討会や顕微鏡実習、ポスター発表、ランチョンセミナー等、今大会も多くのプログラムが実施され、いずれの会場も立ち見がでる盛況ぶりであった。新設された“愛玩動物看護師会員・準会員”も加わり、愛玩動物看護師プログラムも実施され、参加者は2日間で1,000名をこえた。
また今大会では、学会組織が刷新され、新しい組織が発表された。新会長には小林哲也先生(日本小動物がんセンター)、副会長には新しく呰上大吾先生(東京農工大学)、また継続して杉山大樹先生(ファミリー動物病院)が就任した。その他の委員会のメンバーも刷新された。新会長の小林哲也先生は「日本の小動物のがん研究において国際化を目指し、世界と肩を並べられるよう日本の基礎研究・臨床研究を底上げのため、臨床獣医師の先生方への研究支援に努めていきたい」と決意を表明した。これからも本学会のますますの発展が期待される。
その他、前回第30回日本獣医がん学会で「がんの発生と悪性化における遺伝子変異と微小環境」を講演された大島正伸先生が大会長を務める第84回日本癌学会学術総会(9月25日~27日/石川県)での当学会と日本癌学会によるジョイントシンポジウムがアナウンスされた。日本癌学会への入会には推薦者が必要であるが、当学会会員であれば、今回は大島先生により配慮いただけることも報告された。
なお今大会の内容は一部のプログラムをのぞき、7月14日(月)~8月15日(金)までVETSCOPE(https://vetscope.vet/)でもオンライン配信される。
当学会詳細は下記より。
https://www.jvcs.jp/
メインシンポジウム「犬の心臓の腫瘍」総合討論の様子
石田卓夫前学会会長(中央右)と藤田道郎前当学会雑誌編集委員長(中央左)
新しい学会組織の先生方
新会長の小林哲也先生