2025年3月6日(木)、東京都・ホテルルポール麹町にて東京都獣医師会主催、ワンヘルスアプローチで考える会が開催された。
 本会会長の上野弘道先生は開会の挨拶において本シンポジウムのコンセプトである動物がもたらす恩恵とその活用法について触れ、続いてメイン講演として「One Healthアプローチとヒューマン・アニマル・ボンド」と題し、石田卓夫先生(FASAVA会長、赤坂動物病院)による講演が行われた。ワンヘルス、もしくはワンメディシンの考え方のはじまりから人獣共通感染症、人と動物の絆、つまりヒューマン・アニマル・ボンドが社会にとってどれほどの有益性をもたらすか(死亡率、疾病率、がん発生率、フレイル発症リスクの低下および子どもへの教育効果等)など、エビデンスに基づくワンヘルスに関する現状と今の課題および具体的対策について解説された。
 講演後の意見交換会では、来年4月21~24日に東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて第41回世界獣医師会大会が開催されることが日本獣医師会専務理事の伏見啓二先生から紹介された。世界獣医師会大会のテーマがまさにワンヘルスであり、人間社会により広くワンヘルスの考え方が広まる契機となるか、獣医療界全体でこの2026年の機会を生かす必要があると思われる。
 上野会長は閉会の挨拶にて「ワンヘルスの価値をまずは一般臨床の先生が深く理解し一丸となることでこれからの獣医療界の難局に立ち向かう必要がある。そのことをこれからも多角的に発信していきたい」と述べた。


会場の様子