2024年8月28日(水)、29日(木)、東京都立産業貿易センター浜松町館にて(株)グラッド・ユー主催の「第3回Turn on the Radiation」と(有)スピリッツ主催の「HJS年次大会2024」が同時開催された。両講演は会場およびウェブサイトのハイブリッドで開催された。
 第3回Turn on the Radiationでは、新坊弦也先生(北海道大学)の「X線が読めるようになるための読影の流儀」、HJS代表の中島尚志先生の「うんこは嘘をつかない~画像診断からはじめる猫の便秘診療~」、吉田宗則先生(クウ動物病院)の「臨床医がシングルユースの内視鏡を渡されたので使い方を考えてみた」、林 慶先生(コーネル大学)の「臨床家のための関節レントゲン画像診断学:基礎編その2」の講演が行われた。今日の臨床で画像診断の重要性はますます高まっており、その適切な運用は日々の臨床の質を大きく変える可能性を秘めている。日常的に行う画像検査だからこそ、自身の意思決定プロセスを再考して進歩につなげることが大切であり、よりよい診断(Diagnostic Excellence)の根底である「必要最小限のリソースで正確かつ適時に判断を行うこと」の重要性を、そして臨床での様々な実践法を紹介する講演となった。
 第13回HJS年次大会2024では、中島尚志先生の「医療の手術の系統性と合理性を基に動物の標準手術を創出する」、佐々木一益先生(袋原どうぶつクリニック/秋田県立循環器・脳脊髄センター)の「他流試合から垣間見る伴侶動物臨床の現在地 ~ハイブリッド獣医師の視点~」、伊東 完先生(東京医科大学)の「医療のスチュワードシップ ― 持続可能な医療現場をつくるために」、石沢武彰先生(大阪公立大学)の「最新のヒトの手術:がんを治すために!」の講演が行われた。獣医療の向かうべきところやその道はすでに医療で示されており、医療から学べること、学ぶべきことはたくさんある。本年の講演は医療の世界の先生方が導いてくれる「進化」という新たな世界が、獣医療の向かうべき方向を再考する「道標」になるように企画された。
 HJS年次大会ではシークレットセミナーと題し、参加者にしかきけない獣医療の問題点に深く切り込む内容もあり、台風の影響もあったなか、多くの参加者が熱心に耳を傾けた。

会場の様子