1枚の画像から参加者と講師によるディスカッションによって診断名に到達し、さらに治療方針に関しても全員で検討する双方向性セミナー「一枚の症例写真から読み解く 眼科+疾患」が2022年4月22日に開催された。講師はどうぶつ眼科Eye Vet代表の小林一郎先生が務め、(株)Life & Tailが主催し、千寿製薬(株)と(株)メニワンが協力して、毎年夏頃から翌年の春までに年間を通して数回に分けて開催される。
 本セミナーでは先に「どうぶつ眼科をマスターしよう-基礎編-」「Eye Vet基礎セミナー」を受講済みであることが参加資格となり、ディスカッション主体にすすめられることもあって定員は12名に限定されている。だからこそ、それぞれの知見・経験も含めて濃密に情報交換することができ、新たな考え方やみすごしていたことなど、より実践的な多くの気づきを得ることができる。どこに注目して、どこが正常と異なっているのか、どこに違和感があるのか、どのような視点で眼科症例をみていけばよいか、自然と身についていくのである。
 講師の小林先生が提供する写真から何が読み取れるかディスカッションすることでセミナーはすすむが、実際に参加者が診察していて経過観察中の症例の写真を全員で検討することもある。今後の治療方針についても意見交換したあと、飼い主の意向を踏まえると方針転換も生じたりする。ひとりで孤独な判断を強いられる日々の診療において、多くの意見を取り入れながらよりよい方向を模索する場を得て、それを実際の診療に活かせることは大きな財産となり得る。通常の講演は講師から一方向で情報を得、客観的に知識を蓄積できる利点がある。いっぽうで、本セミナーのようなディスカッション主体の双方向性スタイルのセミナーの今後の展開にも期待したい。



 今回の講演は、手指消毒、空気清浄機、アクリル板の設置など、新型コロナウイルス感染症対策を実施した上で開催された