小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第18回日本獣医がん学会 開催される

 2018年1月27日(土)、28日(日)、ホテルニューオータニ大阪にて、第18回日本獣医がん学会が開催された。参加者は620名であった。
 初日午前中は、教育講演として「はじめての下顎切除~下顎骨部分切除・全切除をマスターしよう!~」高木哲先生(北海道大学)、「乳腺腫瘍の病理と臨床」鈴木 学 先生((株)サップス)、午後には「最新の免疫療法」として、「変わりゆくがん治療を知るための腫瘍免疫の基礎知識を学ぼう」「獣医療における抗体医薬の現状を知ろう」伊賀瀬雅也先生(山口大学)と、「免疫チェックポイント阻害剤がもたらしたがん治療のパラダイムシフト」北野滋久先生(国立がん研究センター中央病院)の講演が行われた。初日は総合教育講演8題および一般口演も教育講演と並行して行われた。
 2日目には、メインシンポジウムである「脾臓の血管肉腫」の講演が行われた。初めに近藤広孝先生(日本大学)が「病理診断」、福田祥子先生(どうぶつの総合病院)が「画像診断」、中川貴之先生(東京大学)が「外科」、伊丹貴晴先生(北海道大学)が「周術期管理」、小林哲也先生(日本小動物がんセンター)が「化学療法」について、診断・治療のポイント等をわかりやすく解説した。続いて症例発表として、髙平篤志先生(たかひら動物病院)が「体表腫瘍(皮膚血管腫)の術前検査によって発見された脾臓血管肉腫の犬の1例」、松村健太先生(杉田動物病院)が「血腫と診断された後に再発を繰り返した脾臓血管肉腫の犬の1例」、楢本昌邦先生(稲荷山どうぶつ病院)が「犬血管肉腫15例の回顧的調査検討」、小島健太郎先生(小島獣医院)が「多施設における犬の脾臓腫瘤134例の手術成績-脾臓血管肉腫と他疾患との比較-」を講演した。最後に総合討論が行われ、フロアからの質問に対し、講演者が丁寧に答えていた。
 次回第19回は、2018年7月7日(土)、8日(日)に東京コンベンションホールにて実施予定。メインシンポジウムのテーマは「犬の鼻腔腫瘍」である。

会場の様子

ファームプレス主催RECOVER CPR実習 Training & Certification開催される

 2018年1月24日(水)、大阪府箕面市・北摂ベッツセンターにおいて、RECOVER CPR実習 Training & Certificationの初日が開催された。

 Veterinary Emergency and Critical Care Society(獣医救命救急医療学会)とAmerican College of Veterinary Emergency and Critical Care(アメリカ獣医救命救急医療専門学会)の共同プロジェクトであるRECOVER(獣医蘇生再評価運動)は、心肺停止にいたった犬や猫の救命率を改善させることを目的にCPRガイドラインを作成し、これまで世界中で普及活動を行ってきた。そして、今回CPRガイドライン発案者の1人であるDaniel Fletcher先生(コーネル大学)の来日にあわせ、東京と大阪の2会場でセミナーを実施することとなり、直接指導を受けられる貴重な機会を得られることとなった。

 1次救命処置からはじまり、音楽を使用しての胸部圧迫のコツや、続いて2次救命処置、モニタリング、そしてチームを組み、シュミレーターを使用してのCPR 実践演習などが行われた。多くの参加者が熱心にリズムに乗りながら胸部を圧迫する姿が印象的であった。

 計6モジュールとなるWeb講習との二段階受講によりCPR の方法を勉強し、実技修了後、合格者はAmerican College of Veterinary Emergency and Critical Care 認定の修了証を得る。

 なお、今回は世界に先駆けて日本ではじめてトレーナーの養成も同時に行われ、多くの日本人トレーナーが誕生することとなった。大阪会場3日間(1月24~26日)、東京会場3日間(1月29~31日)の計6日間実施。今後も獣医救急医療の分野から目が離せない。

大阪会場の様子1

大阪会場の様子2

東京会場の様子1

東京会場の様子2

クラウドファンディング「山口大獣医学部の挑戦!動物の生体を使わない獣医師教育の実現へ」開催中

 山口大学共同獣医学部は2018年1月15日~3月31日の期間、クラウドファンディング「山口大獣医学部の挑戦!動物の生体を使わない獣医師教育の実現へ」を行っている。
 同大学では動物福祉に配慮するため、2016年度にクリニカル・スキルスラボを立ち上げ、動物モデルの導入を開始。動物モデルや模型を使用することにより、実際の動物の生体を利用しない実習への切替えを進めている。動物の生体を使用しない実習の早期実現に向け、クラウドファンディングを活用し動物モデル購入のための支援を呼びかけている。
詳細は下記サイトより。
https://readyfor.jp/projects/yamaguchi-uvet

第2回シモゾノ学園トリミンピック 開催される

 2017年12月22日(金)、学校法人シモゾノ学園国際動物専門学校、大宮国際動物専門学校は新しいトリミング実践理論「動物に負担のないジェントルトリマー教育」の成果発表会として、「第2回シモゾノ学園トリミンピック(TRIMMINPIC)」を大宮国際動物専門学校にて開催した。
 トリミンピックとは両校の美容・デザイン学科から選抜された学生達によるトリミング競技会で、1年生は2時間、2年生は1時間半の制限時間が設けられている。犬のカット(型)はもちろん、笑顔や犬への声掛けや負担のない技術、タイムなど、従来型のトリミングコンテストとは違う基準で将来のトリミングサロンで活躍を期待される学生たちが技術と気持ちを競った。
 審査員はペットショップの代表者、業界関係者が努め、審査基準は、①Happy=幸せ、人も犬も幸せにするトリマー、②Smile=笑顔、自分が楽しむこと=犬も楽しい、③Enjoy=楽しみ、トリミングを楽しむ、④Pleasure=喜び、犬との空間を喜ぶ、⑤Gentle=優しさ、犬にとって優しい作業の5つの項目である。
 厳しい審査の結果、各学年の1~3位およびジェントル賞が発表された。2年生の1位の学生は去年に引き続き2連覇であった。受賞した学生達は指導いただいた先生や同級生に感謝の言葉を述べ、受賞のうれしさを表現していた。

トリミンピックのシンボルマーク

競技中の様子