小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

先制動物医療研究会第2回講演会 開催される

 2017年11月25日(土)、日本獣医生命科学大学(東京・武蔵野市)において、先制動物医療研究会第2回講演会が開催された。今回はOne Healthを念頭に、本研究会会長 新井敏郎先生(日本獣医生命科学大学教授)による講演会概要ご紹介に続き、人と動物に共通の動向であるPhytogenic Feed Additive(PFA)応用をテーマとした3講演が行われた。
 EUでは抗生剤に替わる植物由来の抗炎症効果をもつ食品添加物としてPFAを利用する動きが広がっている。木村信熙先生(木村畜産技術士事務所代表・日本畜産技術士会会長)は、「世界の畜産の動向とPhytogenic Feed Additiveの使用」と題し、日本と世界の畜産動向、そこでの薬剤使用からPFA使用への移行状況について、具体例を交えながら解説された。岡田ゆう紀先生(Interseeds Inc. 代表)は「昨今のナチュラルフード事情と酸化防止剤の役割」と題し、主にアメリカにおける小動物向けナチュラルフードに含まれる様々な成分についての検証を紹介された。村井 妙先生(キンダーケア動物病院)は、「肥満動物における抗酸化物質のサプリメント効果」と題し、近年注目されている植物由来の抗酸化物質の犬における影響の調査を報告された。
 「先制動物医療」は各方面から注目されており、様々な分野の連携を図りながら、小動物臨床の新しい可能性を示していることを実感する研究会であった。

新井敏郎先生

第38回動物臨床医学会年次大会 開催される

 2017年11月17日(金)~19日(日)の3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において、第38回動物臨床医学会年次大会が開催された。約20会場にてパネルディスカッション、セミナー、症例検討、一般口演などが行われ、2,500名を超える参加者が各々の目的に沿った内容のセミナーを受講した。今回の特色としては「動物遺伝子疾患研究会」(委員長:大和 修先生)の設立記念シンポジウムの開催、日本獣医学生協会(JAVS)との共催セミナーの開催などが挙げられる。また、2015年から実施された「獣医総合臨床認定医制度」も3年目を迎え、認定医取得のための試験が本格的にはじまりをみせつつある。
 次回大会は、2018年11月16日(金)~18日(日)、同じく大阪国際会議場にて開催予定。

懇親会にて

北海道小動物獣医師会年次大会2017 開催される

 2017年11月4日(土)、5日(日)の2日間にわたり、北海道・ロイトン札幌において、北海道小動物獣医師会年次大会2017が開催された。第25回とのことで節目となる今回は、獣医師学術セミナー、動物看護師セミナー、獣医師・動物看護師合同セミナーや症例検討会、動物看護師発表会などが行われた。

 初日の獣医師・動物看護師合同セミナーでは、「ワクチンの新しい考え方 安全性と有効性を両立させるためのガイドライン」と題し、辻本 元先生(東京大学)が2015年に公表されたWSAVAワクチネーションガイドラインをもとに、その実施方法、ヘルスチェック、抗体検査の導入などについて解説された。また、AAHA(アメリカ動物病院協会)の2017年版ワクチネーションガイドラインにも触れ、はじめてのWeb page版であり、個別の推奨接種プログラム、抗体検査に基づいた対処法について解説された。

 また、2日目の獣医師ランチョンセミナーでは、「僧帽弁閉鎖不全症の診断と治療~ACVIMコンセンサスのUpdate」と題し、上地正実先生(JASMINEどうぶつ循環器病センター)が、2017年6月のACVIMで口頭発表され、近日論文発表予定である内容を解説された。

 会場には託児所も設置され、赤ん坊を抱っこして会場を歩く参加者の姿も見受けられた。500名を超える参加者は2日間にわたり臨床現場で活用できる情報を学んだ。

会場の様子