小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第6回動物看護大会 開催

 2016年10月30日(日)、日本獣医生命科学大学(東京)で、一般社団法人日本動物看護職協会による第6回動物看護大会が開催された。「〜私たちの目指すプロフェッショナルとは!?〜」をテーマに行われた今大会では、初の試みとして海外から講師を招聘。アメリカでVTS(Veterinary Technician Specialist)として活躍するKenichiro Yagi先生(カリフォルニア州Adobe Animal Hospital勤務、Foothill College講師)を招き、第1部「目指せVTS! 動物看護スペシャリストへの道」ではアメリカと日本での動物看護師を取り巻く環境のちがいを、第2部「Just Breathe! Respiratory Emergencies(深呼吸:落ち着いて呼吸困難のアセスメントをする方法)」では、救急医療の現場で呼吸困難に陥った動物への初期アセスメントと処置について講演された。アメリカと日本では動物看護師の職域は異なるものの、動物の看護のプロとして、獣医師からどのような指示を受けても理解を示せるだけの知識を常に身につけておくことが大切であると、Yagi先生はいう。この他、今大会での初の試みとして実習セミナーおよび日本獣医生命科学大学付属動物医療センター見学ツアーを展開された。
 「今日の1日が、参加者の方々にとっての明日への一歩になれば」と横田淳子会長。日本での動物看護師が担う役割、法的整備の前進に尽力される本協会の熱意を強く感じる大会であった。

日本動物看護職協会 横田淳子会長

Kenichiro Yagi先生

日本獣医整形外科センター開設記念講演 開催

 2016年10月29日(土)、本センターによる開設記念講演が研究社英語センタービル(東京・新宿)にて、開催された。
整形外科治療で、安心して相談できる施設があれば、かつて助けられなかった動物たちを助けられたかもしれないという思いから、同年7月に立ち上がった本センター。代表の桐原信之先生(所沢アニマルメディカルセンター)、センター長は樋口雅仁先生(動物整形外科病院)、センター協力獣医師として青砥英三先生(アオト動物病院)、是枝哲彰先生(藤井寺動物病院・動物人工関節センター)、川田 睦先生(ネオベッツVRセンター)、林 慶先生(コーネル大学)が名を連ねる。
 犬猫の飼育頭数が多い関東圏で、紹介症例をみるとともに、最新の情報を提供し、さらに本センターでの整形外科手術に参加してもらい、直接、手術手技をみて学んでもらいたいという、診療と教育を兼ねた施設である。
 開催記念講演会では、「日本獣医整形外科センターがめざすもの」「とう尺骨・上腕骨における粉砕骨折、癒合不全に対する治療法」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択②(股関節脱臼再建術と骨頚骨折再建、骨頭回転術による関節温存治療)」樋口雅仁先生(前述)、「骨折治療の基本的なテクニックと知っておくべき基礎知識」「治療を成功させるために確実にマスターすべき跛行診断技術①(身体検査とX線検査を中心とした画像診断の要点)」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択①(完璧な骨頭切除術を行うために知っておくべきテクニック)」川田 睦先生(前述)、「治療を成功させるために確実にマスターすべき跛行診断技術②(最新の関節鏡診断、その超解像度がもたらす再新知見)」「全十字靭帯疾患に対する各種外科的療法の現状(LSS、TPLO、TTA、CBLO術式選択のコツ)」「股関節疾患、治療の選択、手術の選択③(股関節全置換術の真実、実際症例から得られる本当の機能回復とは)」是枝哲彰先生(前述)、「整形外科手術の術後ケアとリハビリテーションの実際」木村亮太先生(藤井寺動物病院・動物人工関節センター)、「日本の小動物整形外科教育とリファラルシステムへの期待と展望」林 慶先生(前述)が講演をされた。会場には約150名もの参加者が集い、最新の知見を会得しようと熱心に耳を傾けた。
「動物たちが安心して家へ帰れる、ハッピーエンドの結末を迎えられるよう、努めていきたい」と桐原代表は語る。本センターの今後の展開が期待される。

会場の様子

第2回 VSJサミット2016 開催

 2016年10月23日(日)、VSJ(Veterinary Services Japan)による第2回 VSJサミットが、快・決いい会議室(東京・新宿)で開催された。
「つながり」をテーマに開催された今回は、Session1「日本の各地域における獣医療コミュニティの現状と展望」、Session2「グローバルへ学術情報を発信する:施設を超えた協力体制」、Session3「動物看護師・勤務獣医師の活かし方」、Session4「動物医療における技術&働き方のイノベーション」、Session5「大学と民間施設の教育における役割とは?」、Session6「我々の業界の未来、他業界からはどうみえている?」の6つのSessionにわけて展開。
小笠原聖悟先生(IDEXX/小笠原犬猫病院)、米地謙介先生(奈良動物二次診療クリニック)、長坂佳世先生(D&C Physical Therapy)、末松正弘先生(AMC末松どうぶつ病院)、長濱正太郎先生(VAS 小動物麻酔鎮痛サポート)、伊藤良樹先生(山口大学)、中村篤史先生(TRVA)、神津喜広先生(北摂夜間救急どうぶつ病院)、田邊美加先生(動物病理診断センター)、近藤広孝先生(どうぶつの総合病院)、根尾櫻子先生(麻布大学)、古川敬之先生(日本動物高度医療センター JARMeC名古屋)、氏政雄揮先生(アームズ(株)、(株)ブイエムスリー)、岡田崇司先生(岡田吉和税理士事務所)、辻田裕規先生(どうぶつ眼科クリニック)、藤井裕介先生(アセンズ動物病院)、朴 永泰先生(代官山動物病院)、佐藤昭司先生(北摂ベッツセンター、千里ニュータウン動物病院)と、多くのスペシャリストとジェネラリストをスピーカーやモデレータとして迎え、「業界の今や未来の潮流」について参加者を交えてディスカッションされた。10:00~18:00までワンフロアに100名を超える人が集い熱い議論を交わし、獣医療界をよくしていきたいという熱意あふれるサミットであった。
2017年に第3回も開催の予定。詳細はhttp://www.vsj-llc.net/まで(事務局:松山ほうじょう動物クリニック 三好紀彰先生)。

会場の様子。第1回と同様にスペシャリストの先生方とジェネラリストの先生方による至近距離でのディスカッションが展開された

スピーカー、モデレーターの先生方