小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第54回日本大学獣医学会 開催される

 2016年6月25日(土)、日本大学生物資源科学部1号館(神奈川県)において、第54回日本大学獣医学会が開催された。
 午前中は日本大学生物資源科学部獣医学科の各研究室より一般講演10題(うち紙上発表1題)が発表された。午後から行われた教育講演では、テーマを「今、知っておくべき猫の医学」とし、日本大学からは五味浩司先生(獣医解剖学研究室)「猫と犬の比較解剖学」、枝村一弥先生(獣医外科学研究室)「実は多い高齢猫の関節疾患」、亘 敏広先生(獣医内科学研究室)「猫の消化管疾患 IBD?それともリンパ腫?」が、また学外からも、入交眞巳先生(日本獣医生命科学大学)「猫の行動から猫を知る」、永田雅彦先生(どうぶつの総合病院)「“ねこ”の皮膚科診療」、難波信一先生(マーブル動物医療センター)「猫の糖尿病治療~そんなに簡単??~」、全6題の講演が行われた。
 今回の総参加者数は200名を上回り、日本大学校友の先生方、また数多くの在学生が集まり、ほぼ満席の状態で熱心に聴講していた。長い伝統に培われた連携によって若い世代の成長を後押しする貴重な学会でもあり、今後も長く充実した活動が期待される。

会場の様子

2016年春季合同学会(第92回日本獣医麻酔外科学会、第104回日本獣医循環器学会、第59回日本獣医画像診断学会)開催される

 2016年春季合同学会(第92回日本獣医麻酔外科学会、第104回日本獣医循環器学会、第59回日本獣医画像診断学会)が、2016年6月17日(金)~19日(日)の3日間にわたり大宮ソニックシティ(埼玉県)において開催された。
 今回の学会では、日本獣医麻酔外科学会による特別シンポジウム「前十字靱帯断裂の治療を再考する」「甲状腺腫瘍・徹底攻略」「ここまできた小動物の脳外科手術」、各委員会によるパネルディスカッション「脊髄腫瘍」「消化管の外科」「麻酔関連偶発症」、日本獣医循環器学会によるシンポジウム「聴診器生誕200年」、日本獣医画像診断学会によるシンポジウム「中枢神経疾患におけるMRIの最新撮像技術」の他、3学会それぞれのセミナーや一般講演など、9会場にわたって数多くの講演が催された。各会場、熱意溢れる多くの聴講者で活況を呈していた。
 18日の情報交換会にも多くの参加者がつどい、日本獣医麻酔外科学会からは第91回の一般講演6題に対するアワードが発表・表彰された。また、熊本県より学会参加された先生方により、九州での震災に対する義援金がよびかけられ、会場内の募金箱には温かい支援が寄せられていた。
 3日間の参加者数は昨年を上回る1,200名におよぶ参加があり、内容の充実とともに、次回の盛況も期待される学会となった。

会場の様子

日本獣医臨床病理学会 2016年大会 開催

 2016年5月28日(土)、29日(日)、日本獣医生命科学大学B棟(東京都・武蔵野市)にて、日本獣医臨床病理学会2016年大会が開催された。
 初日は、「検査値、細胞診と組織所見から考える肝胆膵疾患への診断アプローチ」をテーマに展開。教育講演では「肝胆膵疾患への臨床病理学的アプローチ」と題して小笠原聖悟先生(アイデックス ラボラトリーズ・小笠原犬猫病院)が肝酵素について、根尾櫻子先生(麻布大学)が肝機能を中心に解説された。続くドライラボでは、4症例がとりあげられ、それぞれにディスカッションポイントを設定し、アドバイザーの先生方のもと、意見交換が行われた。
 2日目午前中はJSVCPシンポジウム(1)にて「犬のがん免疫アップデート」をテーマに「抗腫瘍免疫反応を増強した樹状細胞療法の開発の試み」を杉浦喜久弥先生(大阪府立大学)、「犬の骨髄由来抑制細胞と悪性腫瘍との関連」を田村恭一先生(日本獣医生命科学大学)、「犬の腫瘍組織への制御性T細胞浸潤機構の解明」を前田真吾先生(東京大学)が、午後のシンポジウム(2)では「犬の関節リウマチと多発性関節炎の新しい知見」をテーマに「関節リウマチと多発性関節炎の病態解明の現状」を奥村正裕先生(北海道大学)、「それって本当に免疫介在性多発性関節炎?」を黒木圭一先生(ミズーリ大学)、「犬の特発性多発性関節炎に関する新しい知見」を村上康平先生(信州大学)がそれぞれ講演された。この日の教育講演では、「関節リウマチにおけるショートタリンの役割と展望」について津坂憲政先生(日本リウマチ学会専門医・指導医・東京健康クリニック事長)が講演され、RA(関節リウマチ)の早期診断に血中ショートタリンが有用であることなどについて説明がなされた。
また、今年は一般演題が8題発表され、「イヌの特発性多発性関節炎におけるCXCL8とCCL2の好中球走化作用」の村上康平先生、「担がん犬における末梢血中骨髄由来免疫抑制細胞の量的解析」の宮本拓弥先生(日本獣医生命科学大学)の2名がアワードを受賞。弊社から副賞として書籍を贈呈した。
充実の2日間に、会場は140名以上の参加者で溢れ、みな熱心に耳を傾けていた。来年2017年は5月下旬に開催予定。

会場の様子

Team HOPEエリアセミナー【第1回・南関東地区】 開催

2016年6月5日(日)、Team HOPEエリアセミナー【第1回・南関東地区】が、TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター(東京・中央区)にて開催された。
セミナーの冒頭では、Team HOPE関東地区委員長の上條圭司先生(ゼファー動物病院院長)より、あらためてTeam HOPEの「ペットの健康を保つ、ペットを病気から守る」という理念、発足の経緯、またTeam HOPEの2つの施策である「Team HOPEウェルネスチェック」と「Team HOPE健康診断」の概要が説明された。上條圭司先生は、動物病院がチームとなって予防医療の重要性を発信することが普及の第一歩だとし、また飼い主の満足度を高めた予防施策を充実・普及させていこう、と参加者に熱心に呼びかけた。現在、Team HOPEは、賛同病院会員・賛同獣医師会員約650会員を擁し、関東だけでなく、全国規模で注目されているという。
続く基調講演では「獣医師はなぜ、健康診断を勧めるのか? 病気のサインを見逃さない定期検診の必要性」と題し、小笠原聖悟先生(小笠原犬猫病院)から、定期検診により健康時の基礎データを蓄積することの大切さをアメリカでの例も取り入れ紹介。また、高齢動物はできる限り広く浅くフルスクリーニングでみていくことの重要性、若齢動物での検査値の解釈、腎臓病の早期診断のためのSDMAの活用にも触れ、定期健康診断を実施することの有用性を症例を交えながら解説され、参加者は理解を深めた。
100名近い収容会場は満席であふれ、Team HOPEの理念に賛同される先生方の広がりと熱意を感じた。
Team HOPEは今後も定期的に予防医療に関するセミナーを開催。8月3日(水)には東京にて、Team HOPE学術アドバイザーの石田卓夫先生によるセミナーを開催する予定。

会場の様子

日本全薬工業(株)第1回アニマルスキンケアセミナー 開催

 2016年5月25日(水)、日本全薬工業(株)は池袋サンシャイン文化会館(東京都・豊島区)にて、初のアニマルスキンケアセミナーを開催した。

 「皮膚科専門医に聞く! アニマルスキンケアの極意」をテーマに行われた本セミナーでは、国内に6名しかいないアジア獣医皮膚科専門医から、伊從慶太先生(Vet Derm Tokyo)と大嶋有里先生(犬と猫の皮膚科)を招き、具体的なスキンケアのノウハウを解説された。「見て、触って、嗅いで〜感覚を使ったスキンケア〜」では大嶋有里先生が、「No more ベタベタ〜オイリースキンの新しいスキンケア」では伊從先生が、皮膚の構造、保湿の重要性から皮膚疾患にいたるまで、わかりやすくお話しされた。
 続く座談会形式によるQ&Aでは、事前に寄せらた100以上の質問をいくつかピックアップし、伊從先生と大嶋先生が自身の経験もふまえながら回答していった。
 会場は、日々の診療での疑問を解消したい、よりよいアニマルスキンケアを提供したいという意欲あふれる110名の参加者が集まり、昼の12時半から4時間以上におよぶセミナーは、熱気に溢れていた。

 講演の最後では同社学術部の地土井安芸子氏から、同社製品説明とともに、同社で配布しているリーフレット「やってみよう シャンプーでできるワンちゃん『スキンケア』」が紹介。リーフレットに記載のコードにスマートフォンをかざすことで手軽にシャンプー手技の動画を閲覧できる、その手順が実演された。
 同社では、今後もアニマルスキンケアセミナーを展開していく予定とのこと。

会場の様子