2019年5月26日(日)、千葉衛生科学検査センター八千代ラボラトリー(千葉県)で、第15回獣医臨床感染症研究会が開催された。
 感染症を専門とする、獣医療・ヒト医療の関係者が集う本研究会では、感染症の診断や抗菌剤の適正な使用法を、現状をふまえながら模索・検討し情報を発信し続けている。

 第15回を迎える今回は、特別講演1として奥村 敦先生(米国アレルギー感染症研究所/コロンビア大学)による「動物由来致死性ウイルス感染症研究の最先端―エボラウイルス感染症から獣医師の身近な感染症まで―」をテーマに、エボラウイルス感染症や、アメリカと日本の獣医環境の相違、SFTSの最新情報、現在ニューヨークで麻疹の非常事態が宣言されていることなど、世界でリアルタイムに進行している事象を紹介された。
 また特別講演2は福井祐一先生(こまち動物病院)が「新たなダニ媒介性感染症Anaplasma phagocytophilum」と題し、茨城県での犬の疫学調査に把握された、SFTSに似た臨床徴候をみせ、ときに死に至る新しいダニ媒介性感染症Anaplasma phagocytophilum について紹介。症例報告、検査方法、効果が見込まれる抗生物質などに言及した。
 参加者たちは熱心に耳を傾け、講演後は積極的な質疑応答が交わされた。

 また本会の最後には、会の内外から寄せられた犬猫への感染が疑われる事案も紹介され、参加者たちへさらなる情報提供を呼びかけた。
 「今後も、より積極的な情報発信につとめていきたい」という村田佳輝会長。意欲に溢れる本研究会の活躍が望まれる。

奥村 敦先生

福井祐一先生

会の内外からの寄せられた事案も紹介。参加者へさらなる情報提供を呼びかける