小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第39回比較眼科学会年次大会 開催される

 2019年7月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、大阪・JEC日本研修センター江坂において、第39回比較眼科学会年次大会が開催された。
 初日は特別講演として、池田華子先生(京都大学准教授)「難治性眼疾患に対する新たな網膜神経保護治療薬の開発と現状」、教育講演として真野英俊先生(参天製薬㈱)が「眼科用剤の眼内薬物動態」、一般口演8題が行われた。
 2日目は午前中、臨床部会セッション「網膜剥離への挑戦?レーザーによる予防から硝子体手術による治療まで?」と基礎部会セッション「①ERG検査の基礎から最新動向まで、②毒性質問箱?医薬品開発毒性研究者と眼科専門医とのクロストーク」が、午後には一般口演9題が行われた。
 どの講演も満席または立ち見が出るほど盛況で、新しい知見を得られる充実した2日間となった。
 昨年と同様に初日は台風の影響で雨天となったが、約200名が参加した。次回は沖縄にて、7月10日(金)、11日(土)開催予定。

会場の様子

WJVF第10回大会 開催される

 2019年7月12日(金)~14日(日)、ホテルニューオータニ大阪にて、WJVF(WEST JAPAN VETERINARY FORUM)第10回大会が開催された。

 初のWJVFが2010年6月に公益社団法人 日本動物病院協会(JAHA)と一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)により合同開催されてから10回目となる。JAHA 、JBVPそれぞれの専門活動分野を相互補完し、獣医師と動物病院に役立つ学会として、伴侶動物にかかわるすべての人に開かれた事業とすることを掲げ継続してきた本会、伴侶動物の高齢化など状況の変化も踏まえながら、社会貢献につながる学術情報の提供を続けている。
 毎回数多くの幅広いプログラムが行われるが、今回は“新たなプラス(+)がきっとある”をテーマに「麻酔鎮痛学ストリーム」「皮膚病学ストリーム」「循環器病学ストリーム」という特集枠も設けられ、また今年も同じ会場で連続して同カテゴリーのセミナーを受講することができた。

 「すでにFASAVA-TOKYO 2019ははじまっているような熱気だ」と語る石田卓夫会長。

 今回は3,400名を超える獣医師、動物看護師はじめ獣医療関係者が参加し、第10回目にふさわしい活気ある大会となった。

 WJVF第11回大会は、2020年7月10日(金)~12日(日)ホテルニューオータニ大阪にて開催予定。



石田卓夫先生による開会式の挨拶

一般社団法人 日本獣医眼科カンファランス 2019年記念年次大会 開催される

 2019年7月14日(日)、御茶ノ水ソラシティにおいて、一般社団法人 日本獣医眼科カンファランス(JVOC)2019年記念年次大会が開催された。今回は発足10周年を記念し、「今日までの10年、そしてこれからの10年-小動物臨床における涙液量検査、その意義と実際-」と題し、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)を大会長に、一般演題、多施設研究、基調講演、症例検討などが行われた。

 多施設研究では、滝山直昭先生(獣医眼科クリニック名古屋)が犬の白内障の内科的・外科的治療の比較、前原誠也先生(酪農学園大学)が犬の緑内障の内科的・外科的治療の比較、伊藤良樹先生(岡山理科大学)がぶどう膜炎の原因に関する研究について発表された。

 基調講演では、新しい涙液量評価法であるストリップメニスコメトリー検査(SMT)をメインテーマに、宮坂慶一氏(エコー電気株式会社)、村戸ドール先生(慶應義塾大学医学部眼科学教室)、岩下紘子先生、齋藤陽彦先生(トライアングル動物眼科診療室)がそれぞれの立場から解説された。

 今回は、海外からの聴講者のため、初の企画として、日本語と英語の同時通訳が行われた。また、次回2020年の大会長に伊藤良樹先生(岡山理科大学)が選出され、本会のますますの発展が期待される。


会場の様子

2019年春季合同学会 開催

 2019年6月14(金)~16(日)、大宮ソニックシティ(埼玉県)にて、2019年春季合同学会(合同学会長 米澤覚)が開催された。
 日本獣医麻酔外科学会(大会長 宗像俊太郎)、日本獣医循環器学会(大会長 堅木道夫)、日本獣医画像診断学会(大会長 狩野幹也)、日本獣医内視鏡外科研究会(大会長 中市統三)の4団体が集まり展開。加えて、日本獣医顎顔面口腔外科研究会による総会も行われた。3日間の開催日のうち、2日目は荒天、3日目は初夏らしい晴天と天候は不順だったものの、1,300名超(事前登録含む)の多くの来場者が集った。
 各学会の合同企画として麻酔外科・循環器・画像診断学会による「臨床現場即時検査(Point of Care Testing)について~外傷来院時の腹部胸部のエコー評価」(座長:藤田道郎先生〈日本獣医生命科学大学〉、井坂光宏〈酪農学園大学〉)をはじめ、麻酔外科・循環器学会による心疾患動物の全身麻酔」(西村亮平先生、東京大学)などが開催。「臨床現場即時検査(Point of Care Testing)について~」では、人医学領域から救急医療でご活躍される世良誠先生(福井県立病院救命救急センター)が講演され、最先端の人医療と獣医療のコラボレーションが実現した。
 麻酔外科学会では、特別講演としてウィスコンシン大学よりロバート・J・ハーディ先生(座長:浅野和之先生〈日本大学〉、米澤 覚先生〈アトム動物病院 動物呼吸器センター〉に軟部外科と、リンカーン大学よりダニエル・S・マイルス先生(座長:西村亮平先生〈東京大学〉、宮部貴子〈京都大学〉)には麻酔疼痛管理についてお話しいただいた。
 また、教育講演や、若手獣医師による若手獣医師のためのBasicセミナーなども充実したラインナップで開催され、大会中は学生や若い獣医の先生の姿も多くみられた。
 令和という新しい時代に入り初めて開催された同学会は、参加者にとって記憶に残る有意義なものとなった。

講演の様子

懇親会会場にて大会の挨拶をする米澤覚合同学会長と、各大会長