2018年12月20日(木)パナソニック東京汐留ビル(東京・港区)で、尾形庭子先生(パデュー大学獣医行動科)による「『子犬の本』第2版 出版記念講演」が開催された。テーマは「飼い主さんと動物病院をつなぐ、動物行動学~一般診療における『子犬の本』の使い方」。
米国獣医行動学専門医であり、また日本獣医動物行動研究会の幹事も務める尾形先生は、自身の勤務地であるアメリカと日本の違いも考慮にいれ「1.主訴に頼った受け身な診察になっていませんか?」「2.個体の行動や性格を相談されても返事に困っていませんか?」「3.紹介制度を上手に利用していますか?」「4.日常診療時最低限必要な行動学の道具や使い方をマスターしていますか?」「5.病院スタッフを十分活用していますか?」「6.行動学に使用する薬剤のアップデートしていますか?」をキーワードに、日々の診療で動物病院がどのように動物行動学を取り入れていくか、意識向上の具体例をあげ、参加者へわかりやすく紹介した。
飼い主が自身と暮らす犬や猫に問題行動が発生する前、飼い主がトラブルを抱え込む前、病気になる前から絆を深めていくことの大切さを、監修を務める「子犬の本」の活用法も含め講演され、会場は熱心に耳を傾けた。
また、アメリカを中心に2016年よりスタートしたWEB教育コース「Fear free program」についても触れられた。ペットのストレスや不安・恐怖の軽減を目的に行動科や麻酔科をはじめとした獣医内科分野等の専門家の監修協力による本プログラムは、日本にも導入予定とのこと。
本講演の主催はVSJ,LLC。オンラインで獣医師・動物看護師向けの教育サービス「VSJカレッジ」を実施している。代表の三好紀彰先生は「病院力」をテーマに今後も展開していきたいとのこと。まさに「病院力」を高めてくれる尾形先生の本講演は大阪でも開催された。
尾形庭子先生
会場の様子
VSJ代表の三好紀彰先生