2026年3月30日(月)、31日(火)の2日間にわたり、マレーシア・クアラルンプールのMRANTIパークにて、アジア初の大規模な動物看護師対象の国際会議である1st Asian Veterinary Nursing Conferenceが開催された。会場となるMRANTIパークは、クアラルンプール南部のBukit Jalil(ブキッ・ジャリル)地区にあり、近くにマレーシアの国立競技場がある技術革新とイノベーションを目的に整備された場所に位置する。ここでまさに革新的な動物看護の国際会議が行われた。
はじめに、大会長であるマレーシア動物看護協会のChong Su Via氏らの挨拶のあと、IMU大学の副学長兼CEOのDatuk Dr Asma Ismail氏と本大会のプログラム委員長のSusanna Taylor氏が鳴らすドラの合図で本大会がスタートした。
●初日の基調講演は、日本でも著名な八木懸一郎氏による「Turning Passion into Purpose: Finding Meaningfulness in Your Career(情熱を目的に変える:キャリアにおける意義の発見)」であり、自身のキャリアやご家族のことにも触れながら愛玩動物看護師としての人生が豊かになるための考え方を紹介した。
また、午後のパネルディスカッション1では、本大会のボードメンバーである村尾信義先生(倉敷芸術科学大学)が日本の立ち位置から、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、インドネシアの動物看護師とともに「Many Countires, One Shared Role: Veterinary Nursing Across Asia(アジア諸国で共通する動物看護の役割)」をテーマに意見を交わした。
そして、ショートコミュニケーションセッションでは、「The Essence of Veterinary Nursing:Lessons Learned From over Two Decades in Japan(獣医看護の本質:20年以上にわたる日本での教訓)」と題し、村尾信義先生とクロス動物医療センターの新谷政人氏が、また「Anaesthesia nursing for ophthalmic surgery:The role of veterinary nurses working in ophthalmology clinics(眼科手術の麻酔看護:眼科クリニックで働く動物看護師の役割)」では、香港で活動する保科理子氏とどうぶつ眼科専門クリニックの沖原寛太氏の2名が登壇した。
初日の懇親会は近隣のゴルフ場で行われ、参加者は楽しい地元の食事と交流を楽しんだ。
●2日目は、はじめにポスターセッションの表彰式が行われ、審査員として帯広畜産大学の佐野忠士先生が登壇、また本大会のポスターセッションを協賛した、やさか動物病院の大石太郎先生が各受賞者に表彰状を手渡した。
午前の講義では、八木氏の「Sharpen Your Senses:Triaging Threats to Life(感覚を研ぎ澄ます:生命への脅威の分別)」、マレーシアを拠点に活動する阿部美奈子先生の「Grief Care in Veterinary Medicine Handled by Veterinary Nurses(動物看護師によるグリーフケア)」が行われた。そして、少しの休憩を挟み、ショートコミュニケーションセッションとして、多方面で活躍する遠藤百菜氏と江ヶ﨑 友氏が「Standing Exercise and Herbal Ball Therapy in Dogs:Not Just for Physiotherapy(犬の立位運動とハーブボール療法:理学療法だけでない)」を解説した。
昼食後、午後の講義では、「Practical Small Animal Restraint:humane Handling Using Biomechanics(実践的な小動物の保定 -バイオメカニクスを用いた人道的なハンドリング-」を村尾先生とVCAジャパン所属の黒瀬安寿加氏が犬と猫についてそれぞれ解説した。
パネルディスカッション3では、「What’s in a Name? Titles,Terminology and Identity in Veterinary Nursing(名前に込められた意味とは?獣医看護における肩書き、用語、アイデンティティについて)」に八木氏と村尾先生が、パネルディスカッション4では日本獣医生命科学大学の石岡克己先生が「Education & Career pathways do vet nurses have options?(教育とキャリアパスに関する動物看護師の選択肢)」をテーマに各参加者と意見を交わした。
アジア各国のほか、アメリカやヨーロッパ、アフリカからも参加者が集まり、アジアの動物看護の盛り上がりにそれぞれ刺激を受けた。動物看護学の体系化に向けて、世界的な動物看護の波が日に日に大きくなっていると感じられる2日間であった。第2回も開催予定であり、開催国および開催日の詳細が待たれるばかりである。
※当日の他の画像については、MVM2026年7月号のニュース記事にて紹介いたします。

会場の様子

本大会のボードメンバー

講演する村尾先生