2022年8月21日(日)、「京都市獣医師会主催 一般市民向け公開企画 京都動物フォーラム2022、第100回近畿地区連合獣医師大会、令和4年度 獣医学術近畿地区学会」がグランヴィア京都(京都府)で開催され、同会において、(一社)日本動物看護職協会による「第12回 動物看護に関する学術集会」が、開催された。
本学術集会の前半では、アドバイザーとして佐伯 潤先生((公社)大阪府獣医師会会長)、中村陽子先生((一社)日本動物看護職協会副会長)を迎え、羽生千明氏((一社)日本動物看護職協会理事)を司会として進行された。
プログラムは演題1「人とペット両方の健康と安全を守る機能を備えた防災手帳の作成」(西村裕子氏、千葉科学大学動物危機管理教育センター)、演題2「10年間の入院動物に対する看護計画と看護記録の比較」(山本明菜氏、ダクタリ動物病院京都医療センター)、演題3「神経病疾患の早期回復を達成するリハビリテーションプログラムの重要性」(森惠氏、ダクタリ動物病院京都医療センター)の3つの演題が発表された。
各演題発表後に、それぞれに質疑応答の時間が設けられ、演題1では「動物支援ナースは災害時にどのような活躍をするのか?」「紹介された災害手帳に記載されているマイタイムラインとはどのように把握しておけばよいのか?」、演題2では「看護計画はどのように立案しているのか?」「動物看護学という学問を確立するために、獣医師との情報共有をどのように行うべきと考えるか、また現段階ではどの程度まで情報共有しているのか?」、演題3では「リハビリテーションプログラムの策定と動物看護師のかかわり、獣医師への報告」「自宅でのリハビリに移行したときの、飼い主へのフォロー」「海外とのちがいや、日本での訪問看護検討の重要性」など、活発な質疑応答がなされ、来年3月には誕生する「愛玩動物看護師」への期待が膨らむ内容となった。
後半は「愛玩動物看護師国家資格取得と今後の展望」と題し、本協会会長の横田淳子先生が講演された。本協会会員から寄せられた国家資格取得の受験に関する質問や取得後の業務内容に関する疑問に、横田会長が丁寧に回答していった。また本年11月から名称独占となる「愛玩動物看護師」という名称についての会場からの質問に対して「少なくとも11月~来年2023年の3月までの約4ヵ月間を過ぎれば、多くの愛玩動物看護師が誕生し、混乱とはならないであろう」と説明された。さらに「『愛玩動物看護師』が誕生するまでは、本協会で認定している『臨床栄養指導 認定動物看護師』については『動物臨床栄養アドバイザー』と紹介するようにすすめている。
「(一社)日本動物看護職協会」も、職能団体をうたっている以上、協会名の更新も考えているという横田会長からは、「愛玩動物看護師」の国家資格取得者誕生への強い意志を感じられた。
また6月28日を「動物看護の日」と制定したこと発表し、(一社)日本記念日協会からの記念日登録証も会場で紹介された。愛玩動物看護師法が制定され動物にも看護が必要であることが法文として明文化された日である。「早く『動物看護学』という分野が確立され愛玩動物看護師の〈教授〉が誕生することが、次の目標」と横田会長。動物看護師の待遇の向上、職域の拡大、そして何より社会への貢献度を高めるために、本協会へのさらなる期待が寄せられる。