小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

日本動物看護学会第27回大会開催

 2018年10月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、学校法人シモゾノ学園大宮国際動物専門学校および大宮ソニックシティ小ホール(埼玉)において、日本動物看護学会第27回大会が開催された。
今回のテーマは「職業社会人における動物看護学」であった。まず開会にあたり『プロフェッショナリズムを持った動物看護師の確保と「One Family, One Health」の推進を』と題し、酒井健夫先生(公益社団法人日本獣医師会副会長)による主催団体企画講演が行われた。また学会・主催団体合同企画シンポジウム「動物看護師資格の国家資格化について」においては、下薗惠子先生(一般社団法人全国動物教育協会会長)、石岡克己先生(全国動物保健看護系大学協会カリキュラム委員長)、横田淳子氏(一般社団法人日本動物看護職協会会長)、原 大二郎先生(一般財団法人動物看護師統一認定機構理事)により、動物看護師資格国家資格化に向けての積年の取り組みを再確認し、コアカリキュラム・統一試験など教育の高位平準化の進行、現在の具体的な活動や法整備への働きかけなどが講演された。横田会長は講演のなかで「動物看護師は、動物を助けたいという思いのみならず、飼い主を支え、社会に貢献するという意識をもたなくてはならない」と、会場の動物看護師や学生によびかけた。2日目の学会主催シンポジウムは「ここまで来た! 代替教材の今」と題し、小沼 守先生(千葉科学大学)座長、山下眞理子先生(学校法人シモゾノ学園)の司会で、桜井富士朗先生(慶応義塾大学)、阿部仁美先生(帝京科学大学)、荒川真希先生(ヤマザキ動物看護大学)、菅澤圭二氏(株式会社ラスターテック)により、現在の生体代替モデルとそれらを用いた学習の効果などが紹介された。また一般演題は口頭発表13題とポスター発表13題にのぼった。
現在、小動物臨床の現場では、動物看護師を含むチーム獣医療という考え方が広まってきている。今回の参加者はのべ500名を超え、動物看護師の職域の確認、また学問分野としての動物看護学の確立を、改めて掲げる大会であった。次回、第28回大会は2020年2月8日(土)、9日(日)、奈良県にて開催される。

会場の様子

VSJ SUMMIT 2018開催

 2018年10月21日(日)、東京・永田町のNagatacho GRID にてVSJ SUMMIT 2018が開催された。2015年から発足した本会は「つながり」をキーワードに獣医療界のキーパーソンが集まる会であり、今回で4回目。「Change!」をテーマに多方面にわたる講演が展開された。
 本会の共同代表である辻田裕規先生の開会の挨拶からはじまり、午前中は「獣医療業界のチームワーク!」(三好紀彰先生、豊田陽一氏、村田裕史先生、朴 永泰先生)、「獣医療チームでの動物看護師の役割」(Kenichiro Yagi氏)が行われた。小動物臨床においてチームとして機能するにはどうすればよいか、チーム内で間違いなく重要なポジションである動物看護師をどのように獣医療界全体で捉えていくべきか、具体的な事例を交えて、スピーカーの先生方と参加者とでディスカッションが行われた。
 午後は「動物看護師教育と資格-現状とこれから−」(佐々木伸雄先生)にて、動物看護師の公的資格化に向けた現状が紹介され、続いて「動物看護師の役割と展望について語る!」(小笠原聖悟先生、仲地亜由美氏、小川祐香理氏、佐々木伸雄先生、Kenichiro Yagi氏)によって動物看護師の側からの率直な意見が示され、議論が行われた。
 ティータイムを挟み、「日本から学術論文を世界へ発信する!」(佐野洋樹先生、源本知美先生、長谷川大輔先生、難波信一先生)、「獣医療領域における救急医療の未来!」(佐藤昭司先生、新井 弦先生、川瀬広大先生、上田 悠先生、中村篤史先生)と1日を通して、最新の獣医療事情に踏み込む内容が展開された。
 多くの参加者の、これからの日本の小動物臨床の現場で何が必要か、何が可能なのかを考えるヒントを得ようと熱心に耳を傾けている姿が印象的であった。

会場の様子

第20回記念 日本臨床獣医学フォーラム年次大会 2018 開催

 2018年9月28日(金)~30日(日)に、第20回記念 日本臨床獣医学フォーラム年次大会 2018が、ホテルニューオータニ(東京都・千代田区)にて、開催された。

 記念すべき第20回のテーマは「もっと考えよう伴侶動物との暮らし―どうぶつにやさしい医療―」。大会後半の台風の接近にもかかわらず、7,000名近い参加者が集い、「海外講師プログラム」「One Healthプログラム」をはじめ、画像診断学、腫瘍学、神経病学、軟部外科学、整形外科学、眼科学、歯科学、皮膚病学、内科学、内分泌学、循環器病学など、お目当てのプログラムへ足を運んだ。
また今年も獣医師、動物看護師向けの学術プログラムに加え、トリマーや市民向けのプログラムも展開され、会場は熱気に包まれていた。展示会場も充実したブースが立ち並び、多くの人が足を運び活気に溢れた。

「2019年のFASAVAの前哨戦」が早くもくり広げられているようだと石田卓夫会長。来年のFASAVA-TOKYO 2019では英語やその他の言語でのプログラムの展開を紹介し、FASAVA-TOKYO 2019の成功へつなげたい意向を示した。

開会式であいさつをする石田卓夫会長