小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

TRVA Open Seminar「The Bloody Truth 犬と猫の輸血療法にまつわるウソとホント」開催

 2017年3月24日(金)、TRVA Open Seminar 「The Bloody Truth 犬と猫の輸血療法にまつわるウソとホント」(共催:堀場製作所)が東京・堀場製作所東京支店プレミアムホールで行われた。現在、カリフォルニア州のAdobe Animal HospitalでVTSとして救急医療の現場で活躍され、多数の執筆や講演活動を行われているKenichiro Yagi先生が招聘されての講演は、クイズ形式を用いるなどし、日本の獣医師の先生方にとっての輸血に対する日頃の疑問に答えていく形で展開。輸血の歴史からはじまり、アメリカでの輸血療法の現状、輸血バンク、副反応、など輸血療法をわかりやすく網羅する内容に、会場は熱心に聞き入り、メモを一生懸命とる参加者が印象的であった。「知識の最大の敵は無知ではなく、知識の錯覚である」というホーキングの名言でYagi先生は講演の最後をしめくくり、輸血療法に関する情報を今後もアメリカ、日本に関わらず共有していくことの大切さを語った。

会場の様子

Kenichiro Yagi先生

日本獣医皮膚科学会第20回学術大会・総会 開催される

 一般社団法人日本獣医皮膚科学会第20回学術大会・総会が、2017年3月11日(土)、12日(日)に大宮ソニックシティにおいて開催された。今回は記念すべき第20回大会であり、「-ONE DERM ONE VET-皮膚科の統合、そして獣医学の統合」をテーマに通常の1日開催ではなく、土日の2日間にわたり開催された。

 2日間ともに小ホール、国際会議場の2ヵ所においてモーニングセミナー、ポスターセッション、ランチョンセミナー、一般講演のほか、皮膚をベースとした多様なセミナー、シンポジウムが展開された。他分野、人医学の先生による講演も豊富で、なかでもユニークだったのは「ワインと皮膚~皮膚科診療とワインテイスティングの関連性~」であろう。日本ソムリエ協会認定の西野裕宣氏を招き、ワインの色と香りなどで品種や産地を見極めるコツを解説し、皮膚科診療に活用できるポイントを紹介した。土曜の懇親会ではワインテイスティングも行われ、多くの先生方が2種類のワインを両手にもちながら、じっくりとワインを吟味していた。

 また同じく初日に開催された「座談会 二度と聞けない皮膚科の歴史」では、永田雅彦先生(日本獣医皮膚科学会現会長、どうぶつの総合病院)、村井 妙先生(キンダーケア動物病院)座長のもと、長谷川篤彦先生(前身の小動物皮膚科研究会会長)、小暮規夫先生(同研究会幹事)、大草 潔先生(同研究会幹事)、辻本 元先生(日本獣医皮膚科学会初代会長)、小方宗次先生(第2代会長)、岩﨑利郎先生(第3代会長)、前田貞俊先生(岐阜大学)、西藤公司先生(東京農工大学)、小林哲郎先生(NIH、USA)ら、小動物皮膚科研究会および日本獣医皮膚科学会に所縁のある錚々たるメンバーが集まり、1972年から脈々と受け継がれてきた獣医皮膚科学の歴史を紐解く熱いエピソードがくり広げられた。

 11日の開会の辞では、東日本大震災からちょうど6年が経ったことに触れ、黙祷が捧げられた。診療が日々通常通り可能である幸せをかみしめたうえで、次の10年に向けて日本獣医皮膚科学会がより国際的に発展していく、その高い意識を感じさせる会であった。

会場の様子

第30回 六青会 開催

 2017年3月7日(火)、第30回六青会が堀場製作所(東京)にて開催された。
 第30回目を迎えた今回は、「手根/足根関節以下の疾患と診断と治療」(木村太郎先生、木村動物病院 早稲田本院外科センター)、「猫のワクチン」(山本宗伸先生、Tokyo Cat Specialists)、「電話相談の現場からホスピタリティの基本を考えよう」(三宅亜季先生、Cherish Life, Anicli24)の講演が行われた。疾患、ワクチン、飼い主との対応など、多岐にわたる内容に、会場は熱心に耳を傾けた。また、続く懇親会では、先生がたが日頃の診療などについて、活発で率直な意見交換が交わされ、夜8時からのスタートにも関わらず、最後まで熱気に溢れていた。
 若手の先生が集う勉強会として、今後もますます、その重要性は高まると期待される。

会場の様子

第4回 ペピィアカデミックフェスタ2017 開催

 2017年3月4日(土)、5日(日)、ペピィアカデミックフェスタがNKスクエア玉造(大阪府)で開催された。
「軟部外科:最先端手術機器を使いこなす」(生川幹洋先生、吉田宗則先生、田戸雅樹先生、宇根 智先生)、「跛行診断学:身体検査と画像診断」(本阿彌 宗紀先生、王寺 隆先生、戸次辰郎先生、川田 睦先生)、「腫瘍学① 腫瘍外科の過去・現在・未来―なぜアグレッシブな外科医になったか?」「腫瘍学② 消化器腫瘍の外科 各論―口腔、肝臓、肛門の腫瘍」(廉澤 剛先生)、「講義 軟部組織外科手術の基礎と実践〜会陰ヘルニアの外科手術〜」(秋吉秀吉先生)、「実習 誰にでもできる外科基本手技実習~皮膚と腸管の縫合~」(秋吉秀吉先生・進 学之先生)、「猫の問題臨床行動学」(村田香織先生)から、「動物看護師から伝える高齢犬介護について」(安部里梅先生)など、2日間を通し充実したプログラムが組まれ、獣医師から動物看護師までそれぞれ目的の会場に足を運び、熱心に耳を傾けた。
また今回は、ペット共生型有料老人ホーム「ペピィ・ハッピープレイス TAMATUKURI」の2018年2月の開設にむけて、人と動物が共に幸せに暮らせるために尽力していきたい、という意気込みが溢れていた。

会場の様子