小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

ゾエティス・ジャパン主催 アポキル®錠 発売開始記念企画講演 実施される

2016年5月22日(日)、HOTEL椿山荘東京において、ゾエティス・ジャパン主催、アポキル®錠 発売開始記念企画講演が実施された。

本薬剤の製品概要説明のあと、メイン講演として、「犬の痒み治療 -最新の話題-」と題し、永田雅彦先生(どうぶつの総合病院、アジア獣医皮膚科専門医/ASC代表、日本獣医皮膚科学会会長)による特別講演が行われた。痒みの基本的な考え方から、人の皮膚科学会のガイドラインの紹介があり、まず薬物療法で痒みを取り除くことが治療戦略の第一であると解説された。そのうえで現在使用されているプレドニゾロン、シクロスポリンと比較して、アポキル®錠のもつ効能と「立ち位置」の説明が行われた。とくに臨床現場で飼い主に説明するときや実際に治療を行う際の具体的な説明に、メモをとる聴講者の姿が印象的であった。

当日はインターネット上から質問に対して投票ができるシステムを採用し、聴講者および配信視聴者からダイレクトにそれぞれの考え方を講演に反映できるものであった。

メイン講演終了後、壇上でゾエティス社取締役代表の加藤克利氏より質問があり、ディスカッション形式で本薬剤の特長が示された。その後、犬の痒みに対する飼い主および獣医師意識調査の講演が行われ、皮膚のトラブルについて、そしてステロイド剤についてのアンケート結果が示された。獣医師調査ではステロイド剤の使用については37%の獣医師が“飼い主から同意が得られにくい”ことを問題視しているという結果であった。

当日は日曜17時からのスタートではあったが、300名の定員はほぼ満席であり、インターネット視聴者数も約600名にのぼるなど、本薬剤に対する臨床獣医師の先生方の意識の高さが伺われた。懇親会を経て、盛況のまま閉会した。本製品は2016年6月から販売開始予定。

会場の様子

第36回比較眼科学会年次大会 開催

2016年5月21日(土)、22日(日)、一橋大学一橋講堂(東京都・千代田区)にて、第36回比較眼科学会年次大会が開催された。

今年は臨床系の内容をメインに展開。初日はジョージア州立大学名誉教授でオーバン大学の客員教授であるDr. Charles L. Martin を招いて「Dagnostic Problem Solving」と題しての教育講演が、続く2日目は特別講演として「最新の緑内障治療薬について」をテーマに榊 秀之先生(千寿製薬(株))が講演され、会場は熱心に耳を傾けた。この他、一般口演や臨床部会教育講演、基礎部会セッション、また談話会シリーズでは、これだけは絶対におさえておきたい眼科疾患として、角膜潰瘍や白内障、緑内障にフォーカスした講演が展開された。

両日とも天候に恵まれ、200名以上の先生方が会場に足を運んだ本年次大会。獣医の眼科診療への熱い思いを感じられる2日間であった。

来年2017年は7月22日(土)、23日(日)東京・両国にて開催予定とのこと。眼科診療のますますの発展が期待される。

会場の様子

Save熊本プロジェクトチャリティーレクチャー東京会場を取材して

2016年5月1日(日)、東京大学農学部弥生講堂一条ホールにおいて、東日本大震災復興を応援する獣医師の会(代表:鷲塚 章先生)主催、Save熊本プロジェクトチャリティーレクチャーが開催された。本レクチャーは、2016年4月14日から熊本を中心に群発している震災の復興支援を目的として企画され、聴講者の参加費が義援金として寄付される。東京会場でのレクチャーは、Veterinary Medical Network(VMN)サイト(https://www.vmn.ne.jp/)からのストリーミング配信も行われ、この受講料も義援金となる。
主催である東日本大震災復興を応援する獣医師の会は、2011年の東日本大震災発生を受けて結成され、被災した動物と家族、そして獣医師の支援を目的として活動を継続している。16名の有志獣医師がメンバーとなり、チャリティーセミナー等が全国各地で実施され、2011年からこれまでの5年間で集まった義援金は1千万円以上にのぼる。これは日本獣医師会・福島県獣医師会へ送金されている。
今回のSave熊本プロジェクトチャリティーレクチャーは、「日本という国はいつ何が起こるか分からない。だから、今我々にできることを、できる限りがんばる。レクチャーに参加して、熊本地震復興を応援する。」をキャッチコピーとして、東京および名古屋の2会場で開催された。今回編集部では東京会場を取材したので報告する。

東京会場では、小林哲也先生より開会にあたって挨拶と本会開催の趣旨説明があり、続いて以下3題のレクチャーが行われた。

「猫のリンパ腫アップデート 2016」
小林哲也先生(公益財団法人 日本小動物医療センター付属日本小動物がんセンター)
「FIPの診断と治療―最新情報」
石田卓夫先生(一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム会長、ねこ医学会会長)
「僧帽弁閉鎖不全症の治療~全ての獣医師が知っておくべき・実践すべき基本事項とは?~」
竹村直行先生(日本獣医生命科学大学教授、一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム学術顧問)

スペシャリストである先生方によりそれぞれ90分間、臨床に役立つ情報が解説され、先生方の気持ちの強さが伝わる非常に充実した内容であった。
呼びかけから実施まで短期間であったにもかかわらず、東京会場だけで150名以上の受講者が全国から集まり、学生も多く、一丸となって熊本や大分を支えるという想いの感じられるレクチャーであった。

なお5月8日(日)の名古屋会場には100名以上の受講者が参加しており、活動は今後も継続の予定である。問い合わせ、活動報告等はhttp://charity-vets.org/に随時掲載される。

会場の様子