2019年8月25日(日)、品川フロントビルにおいて「ヒトと動物の共通する難治性腎疾患―CKDとしての多発性嚢胞腎」をテーマに第12回 日本獣医腎泌尿器学会学術集会・総会が開催され、約160名が参加した。開催にあたっては、学会顧問である山根義久先生からご挨拶があった。

 基調講演では、川崎医科大学の柏原直樹先生が「本邦の慢性腎臓病の現況、病態解析と治療の進歩」と題して、ヒトにおける健康寿命を阻害する要因のひとつとして考察されるCKDについて解説された。今後、人医療と獣医療の学術交流を通して双方の理解を深めていくことが期待できる講演だった。続いて、「日本におけるネコ多発性嚢胞腎の広がりとPKD1遺伝子変異」小林沙織先生(岩手大学)、「ネコ多発性嚢胞腎症例の管理と治療法」佐藤れえ子先生(岩手大学)が講演された他、日本ヒルズ・コルゲート株式会社協賛によるランチョンセミナーでは「注目されつつある身体診察項目 体重とマッスル・コンディション・スコア」竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)および16題の一般症例・研究発表があった。いずれの講演・発表においても多岐にわたる質疑応答が繰り返され、講演者・質問者の間だけではなくフロアからも活発に意見が述べられる熱気に溢れた集会であった。

 また、先の第11回学術集会のアワード受賞者が今大会において表彰された。受賞演題・受賞者名は次の通り。【研究発表部門 優秀賞】「移行上皮癌のイヌに対する抗HER2療法のパイロットスタディ」酒居幸生先生(東京大学)、「犬の移行上皮癌におけるBRAF(V595E)遺伝子変異による細胞内シグナル伝達系の活性化」山﨑寛文先生(日本動物高度医療センター)、【症例報告部門 優秀賞】「幼齢期の尿道損傷を成長後に再建した雄猫の1症例」藤原昌雄先生(長崎どうぶつ病院)。

会場の様子