去る3月2日(金)、一般社団法人 日本動物麻酔科医協会(JAVA)の主催「第二回比較臨床麻酔カンファレンス」が、研究社英語センター会議室において開催された。
 同カンファレンスは、「日本の獣医麻酔の発展」をテーマとしており、「麻酔というものは妥当な方法が1つとは限らない。だからこそ、本気の専門家同志で議論したい」という思いから、2017年にスタートした。今回のメイン講演は3題、症例検討2題であり、JAVA代表である長濱正太郎先生が各講演で座長を務め、各テーマについて熱い議論が展開された。
 佐々木一益先生(東北大学、袋原どうぶつクリニック・仙台動物医科学研究所)による「従来の常識にとらわれない硬膜外麻酔の可能性を探る~従来の常識?編~」では、硬膜外麻酔の基本的な手技を動画で紹介し、スタンダードな薬剤の使用法に加え、今後は併用薬の検討および獣医学領域でのガイドラインの必要性などを提案された。
 佐野洋樹先生(マッセイ大学)による「麻酔中によく遭遇する不整脈を見極めよう!」では、麻酔薬は不整脈を惹起することがあるが、その治療をすべきか、治療しない選択をするときの判断基準などを心電図からの情報を中心に紹介された。
 石塚友人先生(北海道大学)による「人工呼吸管理~今までの人工呼吸管理って本当に正しいの? 私の秘訣を伝授します!~」では、自発呼吸と人工呼吸の選択、二酸化炭素の許容範囲などを解説し、VCVとPCVの選択や使い分ける基準が提示され、さらに具体的な設定値についてもディスカッションによって深められた。
 すべての講演直後に、講演者およびコメンテーターの伊丹貴晴先生(北海道大学)、神田鉄平先生(倉敷芸術科学大学)、神野信夫先生(日本獣医生命科学大学)、手島健次先生(日本大学)、柳川将志先生(帯広畜産大学)らによるディスカッションが行われ、講演内容について、それぞれの考え方、ある局面における判断基準など忌憚のない意見交換が繰り広げられた。
さらに、症例検討1「術中輸血の判断基準」(下田有希先生)、症例検討2「周麻酔期の心停止」(鈴木さやか先生)と具体的な症例発表が続き、講演者およびコメンテーターによるディスカッションテーマとなる問題提起が行われた。この検討事項を議論する内容を聞き入る参加者からも、明日の診療に活かそうとする熱意が感じられるカンファレンスだった。
 今後の予定などは、http://www.ccca.jp/において随時更新予定。

会場の様子