一般社団法人日本獣医皮膚科学会第20回学術大会・総会が、2017年3月11日(土)、12日(日)に大宮ソニックシティにおいて開催された。今回は記念すべき第20回大会であり、「-ONE DERM ONE VET-皮膚科の統合、そして獣医学の統合」をテーマに通常の1日開催ではなく、土日の2日間にわたり開催された。

 2日間ともに小ホール、国際会議場の2ヵ所においてモーニングセミナー、ポスターセッション、ランチョンセミナー、一般講演のほか、皮膚をベースとした多様なセミナー、シンポジウムが展開された。他分野、人医学の先生による講演も豊富で、なかでもユニークだったのは「ワインと皮膚~皮膚科診療とワインテイスティングの関連性~」であろう。日本ソムリエ協会認定の西野裕宣氏を招き、ワインの色と香りなどで品種や産地を見極めるコツを解説し、皮膚科診療に活用できるポイントを紹介した。土曜の懇親会ではワインテイスティングも行われ、多くの先生方が2種類のワインを両手にもちながら、じっくりとワインを吟味していた。

 また同じく初日に開催された「座談会 二度と聞けない皮膚科の歴史」では、永田雅彦先生(日本獣医皮膚科学会現会長、どうぶつの総合病院)、村井 妙先生(キンダーケア動物病院)座長のもと、長谷川篤彦先生(前身の小動物皮膚科研究会会長)、小暮規夫先生(同研究会幹事)、大草 潔先生(同研究会幹事)、辻本 元先生(日本獣医皮膚科学会初代会長)、小方宗次先生(第2代会長)、岩﨑利郎先生(第3代会長)、前田貞俊先生(岐阜大学)、西藤公司先生(東京農工大学)、小林哲郎先生(NIH、USA)ら、小動物皮膚科研究会および日本獣医皮膚科学会に所縁のある錚々たるメンバーが集まり、1972年から脈々と受け継がれてきた獣医皮膚科学の歴史を紐解く熱いエピソードがくり広げられた。

 11日の開会の辞では、東日本大震災からちょうど6年が経ったことに触れ、黙祷が捧げられた。診療が日々通常通り可能である幸せをかみしめたうえで、次の10年に向けて日本獣医皮膚科学会がより国際的に発展していく、その高い意識を感じさせる会であった。

会場の様子