2016年5月28日(土)、29日(日)、日本獣医生命科学大学B棟(東京都・武蔵野市)にて、日本獣医臨床病理学会2016年大会が開催された。
 初日は、「検査値、細胞診と組織所見から考える肝胆膵疾患への診断アプローチ」をテーマに展開。教育講演では「肝胆膵疾患への臨床病理学的アプローチ」と題して小笠原聖悟先生(アイデックス ラボラトリーズ・小笠原犬猫病院)が肝酵素について、根尾櫻子先生(麻布大学)が肝機能を中心に解説された。続くドライラボでは、4症例がとりあげられ、それぞれにディスカッションポイントを設定し、アドバイザーの先生方のもと、意見交換が行われた。
 2日目午前中はJSVCPシンポジウム(1)にて「犬のがん免疫アップデート」をテーマに「抗腫瘍免疫反応を増強した樹状細胞療法の開発の試み」を杉浦喜久弥先生(大阪府立大学)、「犬の骨髄由来抑制細胞と悪性腫瘍との関連」を田村恭一先生(日本獣医生命科学大学)、「犬の腫瘍組織への制御性T細胞浸潤機構の解明」を前田真吾先生(東京大学)が、午後のシンポジウム(2)では「犬の関節リウマチと多発性関節炎の新しい知見」をテーマに「関節リウマチと多発性関節炎の病態解明の現状」を奥村正裕先生(北海道大学)、「それって本当に免疫介在性多発性関節炎?」を黒木圭一先生(ミズーリ大学)、「犬の特発性多発性関節炎に関する新しい知見」を村上康平先生(信州大学)がそれぞれ講演された。この日の教育講演では、「関節リウマチにおけるショートタリンの役割と展望」について津坂憲政先生(日本リウマチ学会専門医・指導医・東京健康クリニック事長)が講演され、RA(関節リウマチ)の早期診断に血中ショートタリンが有用であることなどについて説明がなされた。
また、今年は一般演題が8題発表され、「イヌの特発性多発性関節炎におけるCXCL8とCCL2の好中球走化作用」の村上康平先生、「担がん犬における末梢血中骨髄由来免疫抑制細胞の量的解析」の宮本拓弥先生(日本獣医生命科学大学)の2名がアワードを受賞。弊社から副賞として書籍を贈呈した。
充実の2日間に、会場は140名以上の参加者で溢れ、みな熱心に耳を傾けていた。来年2017年は5月下旬に開催予定。

会場の様子