グローバル化がすすむなかで、人、動物、環境という3者の健康や健全性を維持することが、人の健康へとつながるという概念「One Health」。2016年に設立された日本ワンヘルスサイエンス学会は、One Healthの立場から、医学・薬学・保健衛生学・獣医学・農学・理学・工学などの領域の研究者があつまり、人、動物、環境の健康に貢献することを目的として活動している。

その第6回目となる年次学術集会(大会長:岡﨑登志夫先生、ヤマザキ動物看護大学)が9月2、3日の2日間開催され、市民公開シンポジウムは、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、3日(土)、対面(ヤマザキ動物看護大学、東京都八王子市)およびオンラインにて開催された。

今シンポジウムのテーマは「愛玩動物看護師の国家資格化と愛玩動物を取り巻く社会」。愛玩動物看護師の国家試験が来年2023年に迫るなか、愛玩動物看護師法の成立にご尽力された学校法人ヤマザキ学園理事長およびヤマザキ動物看護大学学長の山崎 薫先生がご挨拶され、シンポジウムは幕を開けた。

つづいて、(一財)動物看護師統一認定機構の機構長であり、日本大学学長の酒井健夫先生が、「ワンヘルスの推進と愛玩動物看護師の役割」をテーマに、改めて、愛玩動物看護師の使命をさらなる獣医療の発展に寄与していくこととし、その職務について説明された。

特別講演に登壇されたのは、北里英郎先生(北里大学、テーマ:環境と微生物について)、宮台俊明先生(福井県立大学、テーマ:魚の病気について)、内田明彦先生(ヤマザキ動物看護大学、テーマ:イヌ、ネコから感染する寄生虫について)といった3名の先生方である。それぞれ、人、魚類、犬と猫というご専門の立場から、新型コロナウイルスをはじめとしたウイルスや細菌感染症および、人獣共通感染症についてご講演された。宮台先生のご講演では、魚病のほとんどが感染症であること、また、飼育する環境を工夫することで感染症を防ぐことができたご経験など、興味深いお話を聞くことができた。

日本の獣医療界において大きな意味合いをもつ愛玩動物看護師の誕生を控え、その存在を市民の方々にも周知する機会となった同学術集会。いっぽうで、拡大する気候変動の影響によって世界の国々を大きな災害が襲う現在、同学術集会は、科学者、研究者だけでなく、すべての人が「One Health」の意味を考える機会ともなったのではないだろうか。

日本ワンヘルスサイエンス学会 http://jsohsci.kenkyuukai.jp/about/

「ワンヘルスの推進と愛玩動物看護師の役割」について講演された酒井健夫先生

ヤマザキ動物看護大学で行われた公開市民講座の様子