2017年7月1日(土)、2日(日)、東京コンベンションホール(東京)にて、第17回日本獣医がん学会が開催された。参加者は815名であった。
 初日午前中は、教育講演として「腫瘍のリンパ節転移に関する病理」鈴木 学 先生((株)サップス獣医外科病理センター)、「獣医療における獣医師の倫理とリスク」氏政雄揮先生((株)ブイエムスリー)、「抗がん剤曝露の危険性と有効な安全対策」中山季昭先生(埼玉県立小児医療センター薬剤部)が、午後にはシンポジウム「部位別アプローチ法を整理する2017」の「骨盤」(座長:生川幹洋先生〈三重動物医療センター〉)と、「胸部」(座長:高木 哲 先生〈北海道大学〉)が行われた。また2日目は、本大会のテーマである「消化器型リンパ腫」について、午前は「犬」(座長:佐藤敏彦先生〈さとう動物病院〉)、午後は「猫」(座長:呰上大吾先生〈日本獣医生命科学大学〉)に分け、メインシンポジウムが行われた。このメインシンポジウムは、アドバイザーに内田和幸先生(東京大学)を迎え、犬、猫それぞれで総合討論の時間が設けられ、外科適応や薬剤の使用方法などについて熱い議論が交わされた。
 2日午後には第8回獣医腫瘍科認定医Ⅱ種試験および第8回獣医腫瘍科認定医Ⅰ種試験の認定証授与式があった。Ⅱ種の合格者は38名(合格率16.5%)、Ⅰ種合格者は3名(合格率は15.7%)であった。この結果を受けて認定委員長である藤田道郎先生は「試験が難化しているという声も聞こえたが、例年通りの試験内容である」ことを強調した。
 2日午後のメインシンポジウムの前に、学会新会長に石田卓夫先生の再任が発表され、「世界に誇れる臨床研究を出していくこと、がんという科学をより進めることが使命である」と就任の挨拶をされた。任期は2年。2020年には日本獣医がん学会が日本で開催される世界大会のホストとなっており、新しい体制での運営が期待される。
 次回第18回は、2018年1月27日(土)、28日(日)ホテルニューオータニ大阪で実施予定。メインシンポジウムのテーマは「脾臓の血管肉腫」である。

会場の様子