2016年12月10日(土)、11日(日)、日本獣医生命科学大学(東京)において、第58回比較統合医療学会大会が開催された。
 10日午後に開会後、岸上義弘先生(岸上獣医科病院)によるシンポジウム「獣医領域の再生医療の実際」、続いて荒島康友先生(日本大学)による教育講演「登校拒否、うつ病様、CFS等を呈すZoonosis~Q熱、パスツレラ症~」が行われた。
 11日午前には、太田伸生先生(東京医科歯科大学)による講演「寄生虫感染症と統合医療:治療薬開発の経緯を辿る」が行われた。この講演では、マラリア治療薬であり住血吸虫病治療薬でもある青蒿素などを例として取り上げ、民間で伝承されてきた生薬から治療薬が開発されてきた経緯を紹介、それらの薬効機序解析から、今後期待される薬剤開発の展望や課題などが解説された。比較統合医療の1つの方向性として、伝統的医療に対する科学的アプローチが示される興味深い内容であった。
 午後には一般講演7題が発表され、症例発表や感染症認知度調査など、それぞれ幅広い分野での取り組みが示された。
 本大会のテーマは「比較統合医療の展望」であり、今後の展開にさまざまな方向性があることを感じさせる大会であった。

会場の様子